2014年11月14日 by Eric Joneson
ASTM D4169、ランダム振動プロファイルを改訂へ
ランスモントは、ASTM D4169 試験規格の「ランダム振動試験」タスクグループの一員として、欠くことのできない存在になっています。このタスクグループはこの2~3年、D4169 の新たなランダム振動プロファイルの策定に取り組んできました。私たちの、現時世界のデータに対する専門性とテクノロジーは、この将来のランダム振動プロファイルに理論と根拠をもたらすと共に、その特性を明らかにすることに貢献しています。
現在のASTM D4169 におけるトラックの振動プロファイルは、アメリカ国立林産試験場(Forest Products Lab)のレポート FPL-22 にもとづいています。このレポートが発行されたのは、1979年です。その後の35年間で、トラックの性能はもとより、データ測定技術も格段の進歩を遂げました。
ここ最近の研究を見渡しても、トラック振動の測定結果は(そのほとんどで、ランスモントの輸送環境記録計 SAVER が使われています)、ASTM D4169 とあまり一致していません。右図のPSD振動データは、いくつもの地域でトラックトレーラーの応答を測定した時によく見られる、一般的な振動スペクトルの形状です。それは、現行のD4169 のトラック・プロファイルとは、似ても似つかない形をしています。
ASTM D7386 やISTA 3シリーズのように、比較的新しく開発された試験仕様では、現在測定されるトラックのデータとかなり一致するスペクトルの形状が使われています。私たちがASTMに勧めているのは、D4169のトラック・プロファイルを、上述した試験規格ですでに受け入れられているスペクトル形状に近いものにアップデートすることです。
輸送振動で発生する強度は一定ではありません。それなら、その状況をシミュレーションしている最中に、強度がいろいろと変わってもよさそうなものです。そこで私たちが提案しているのは、試験時間のすべてを一つの強度だけで試験するのではなく、3つの異なる強度でプロファイル(スペクトル形状)をシミュレートすることです。
左の図にあるのが、私たちが提案した新しい D4169 の試験プロファイルです。これは、タスクグループによる測定作業で観察されたすべての振動を、90%、95%、99% の三段階の強度でレベル分けしたものです。それぞれのプロファイルの試験時間は異なりますが、全体としては3時間の試験になるようにしました。
改訂に向けたプロセスでカギとなるのは、もちろん実際の梱包製品を試験して、プロファイルの改善効果を検証することです。いくつかのラボでは、すでに試験のトライアルを終え、フィールドとラボの試験結果の間に、見事な相関があることが報告されています。ASTMは、この提案されたトラック・プロファイルを2015年に投票にかける予定です。その後で、鉄道と飛行機のプロファイルの見直しにも着手することになっています。
ランスモントは、これらのASTMの努力に多くの時間を捧げています。それは、包装試験コミュニティの技術が進歩し続けることの大切さを、私たちがよく知っているからなのです。